【G1 CLIMAX32】大田区2連戦1日目！ヘナーレ・YOSHI-HASHI両選手の大健闘に未来が見えた【大田区大会】

2022年7月24日2022年8月5日

「記録的猛勝負」と銘打たれたG1 CLIMAX32 大会4日目。大田区総合体育館での7/23・7/24 2連戦の1日目でした。この日のG1公式戦のカードはザック・セイバーJr. vs アーロン・ヘナーレ、YOSHI-HASHI vs 鷹木信悟、オカダ・カズチカvs 矢野通、そしてジェイ・ホワイト vs 石井智宏。

もちろん全ての試合に見どころがあり、素晴らしい試合ばかりだったのはいうまでもありません。

ケイオス同門のオカダ選手をあの手この手で苦しめた、久しぶりの「怖い」矢野通選手の姿が見られたり、ジェイ選手のSSSを繰り出すテクニシャンぶりを発揮して今日もメインを盛り上げた石井選手だったり。

ただしこの大会ではアーロン・ヘナーレ選手とYOSHI-HASHI選手の大健闘こそをここで取り上げたい。どちらも今のトップ選手をあと一歩のところまで追い詰め、今後上に上がっていくだけの力が十分にあることを証明して見せたのですから。

Contents

1. なかなか結果につながらなかったYOSHI-HASHI選手とヘナーレ選手

なかなか結果につながらなかったYOSHI-HASHI選手とヘナーレ選手

YOSHI-HASHI選手とヘナーレ選手。どちらも共通するのは、実力はあると言われつつもなかなか結果につながられなかったところだと思います。

今でこそベルトを持っていることに違和感のないYOSHI-HASHI選手ですが、初めてベルトを巻いたのは2020年8月とつい最近のことでした。それも初のベルトはNEVER 6人タッグのベルトで、その後も後藤選手とのタッグでベルトを取ったりと存在感を強めていますが、シングルでは未だにタイトルを取ったことがありません。

同年代の内藤選手、鷹木選手、飯伏選手、石森選手、いわゆる57年会のメンツと比べるとどうしても出遅れている感は否めません。

ヘナーレ選手も、2016年にデビューしてから初のG1参戦。2021年にユナイテッド・エンパイアに加入し注目を集めたものの、今にいたるまで目立った戦績を残せているわけではありません。今回のG1参戦に当たっても、内藤選手からは「特別何かに秀でているという印象はない」「エンパイアの他の選手と比べて明らかに遅れをとっている」という辛い評価を受けていました。

その分、両者がこのG1にかけている気持ちは大きいのでしょう。

ヘナーレ選手は今年のNew Japan Cupの優勝者であるザック・セイバーJr.選手を終始パワーで圧倒していました。立ち技格闘技にも精通しているヘナーレ選手は重い打撃中心の攻めを展開し、ザック選手を追い詰めました。ザック選手も足を取ろうとしますが、切り抜けられてしまったりロープエスケープされてしまったりと、なかなか極めきることができません。この試合は最近のザック選手の試合では珍しく、ザック選手の関節技が相手に極まっている時間が非常に短かったと思います。それだけペースを握ることが難しかったのでしょう。最後一瞬のうちに足をとってギブアップを奪ったのはさすがの一言ですが、試合のほとんどをヘナーレ選手にコントロールされてしまっていたのは否めないでしょう。

同様にYOSHI-HASHI選手も鷹木選手に対して一歩も引かず、真っ向からのぶつかり合いを展開。エルボーに対してはチョップを、メイドインジャパンにはカルマを返していき、鷹木選手の得意とする土俵で一歩も引かない試合展開を見せました。いや、一歩も引かないどころか鷹木選手を圧倒していたと思います。最後は鷹木選手のグラウンドコブラで丸め込まれて3カウントとなってしまいましたが、見ようによっては鷹木選手が真っ向勝負では分が悪いと判断したと考えられます。真っ向勝負だけでなく、こういう勝ち方もできるという懐の深さを持つのはさすが鷹木選手というところで、すでに1敗している以上どうしても勝たなければならなかった執念の結実とも言えますが、試合後のインタビューで自らが語っていた通り、「試合に勝って勝負に負けた」というのが素直な見方でしょう。

そう、両試合ともに試合後の選手の顔が印象的なのです。

どちらも勝者は敗者よりも苦しい表情をしています。それだけの薄氷を踏むような勝利だったのです。

ヘナーレ選手がNew Japan Cup王者を、YOSHI-HASHI選手が元IWGP世界ヘビー級王者を圧倒するような試合展開を見せたことで、この2人は自分達の実力がトップを目指すのに十分なものであることを証明しました。

今後この二人がそれぞれベルト戦線に絡んでくることで新しい展開が生まれることでしょう。今後のさらなる活躍に期待したいと思います。