崖っぷちに立つネットフリックス、今週が天王山

ネットフリックスは今週、7/19 (火)の引け後に2022年第2四半期の決算を発表します。前回の決算内容は過去に類を見ないほど同社の苦境を反映したものであり、ネットフリックスショックと呼ばれるほど株価の低下を引き起こしました。前回の結果を受けて、今回同社の業績は改善したのか、それともズルズルと悪化してしまっているのか。動画ストリーミング業界のフロントランナーであるネットフリックスの業績は今後のストリーミング市場全体の未来を占うものとして非常に注目が集まっています。

ネットフリックスは苦境にある

2022年はネットフリックスにとって非常に厳しい年になっています。同社の株価は年初から70%も下落。

その原因とされているのは2つ。

ひとつは、2022年第1四半期に加入者が純減したこと。ウクライナ侵攻を機にロシア事業を中断したことで70万人分の減少要因になったことが大きく影響し、全体ではマイナス20万人で着地しました。登録者数が純減したのは同社の史上初の出来事で、市場には衝撃が走りました。

もうひとつは、2022年第2四半期(4~6月)に関しても、世界の加入者が200万人減少するという悲観的な見通しがなされたことです。ストリーミング動画市場は飽和してきており、競合との競争が激しくなっていること、アカウントを共有している世帯が「1億世帯以上」存在していること、インフレが急速に進んでいることなど毛マクロ経済的な懸念がチャレンジとしてあげられています。

アメリカの調査会社であるMagid社は「もし今回、加入者の減少が200万人を大幅に上回るようなことがあれば、その結果は地獄のようなことになりうるだろう」とコメントを出しています。

今週発表されるネットフリックスの決算は、同社だけでなくストリーミングビジネス市場全体の将来を決定づけるものとして非常に注目されています。

ネットフリックスの次の一手は?

ネットフリックスの次の成長戦略に注目が集まっていますが、それについて同社が発表したもの2つ。

ひとつは広告事業。

2022年中に、動画広告付き廉価版の新プランを提供することを発表しています。先週には広告ビジネスを推進していく上でのパートナー企業として、マイクロソフト社と提携することが発表されていました。

Bloomberg – ネットフリックス、広告付きサービスの提携先にマイクロソフト選定

ネットフリックスは長い間広告がついていないことがアピールポイントのひとつになっていましたが、ビジネス環境の悪化を受けて広告ビジネスに参入することになりました。

もうひとつはアカウント共有への対策です。

具体的なアクションについてはまだ発表されていなかったと思いますが、世界中に「1億世帯以上」がただのりしている状況は、ネットフリックスにとっては大きなビジネスの損失になっています。

自ら共有していなくとも、アカウント情報を盗まれて勝手に使われているというケースも多いとのことです。久々に自分のアカウントにログインしたら外国語のプロフィールが勝手に作られていた、ということがあるそうです。

苦境にあるとはいえ、ネットフリックスは依然世界中に2億2160万人の加入者を持つストリーミングサービスのリーダー企業です。また、重なるマクロ経済の悪化によって株価を落としているのは同社に限った話ではなく、しばらくの間は投資家も復活を期待して我慢し続けてくれるかもしれません。

いずれにせよ同社には復活のための計画を発表していくことが求められていることは間違いありません。今回の決算で市場の予想を超える数字を出せるか、注目です。

今回の決算では、一株当たり利益(EPS) $2.97、売上 80.5億ドルが予想されています。

元記事:CNN : Netflix is in rough shape. This week will determine its future